里山エッセイ・鎌倉峯山の四季

峯山の四季折々の状況と活動内容をお知らせします。

タグ:ドングリ

211005_マテバシイ実生
     (マテバシイの実生)

ドングリのシーズン到来です。昨年あたりからドングリの加工をあれこれ試しています。
ご存じのとおりドングリといっても木も実もじつに様ざまです。代表的なのはクヌギやコナラですが、あまり美味くありません。スダジイは大木のわりに実が小さく実用的でありません。一番のおすすめはマテバシイです。実が大きくアク抜きの必要もなく、空炒りするだけで食べられます。生食も可です。縄文人が好んだのではないかと推測しています。そこで、マテバシイの実でクッキーを作り、縄文クッキーと名付けて峯山仲間に提供すると、最初は味がイマイチなどと言われます。その時はよく噛んでみてくれと云います。すると意外な顔つきで、「うん、結構いけるね」とか「味わい深いね」と賛同を得ます。強制されて云ってるわけではなそうです。
つまり、縄文人のように頑健な歯と素直な心?を持たないとその美味しさは分からないのです。
ところで、峯山には手じかに拾える場所にマテバシイの木がありません。そこで、近所に生えているマテバシイの実生を掘り出して、平らな場所に移植しました。今の時期で大丈夫かと案じていましたが、台風の来る直前に植えたのがよかったのか今のところ順調です。
この木が育って、ドングリを落とすのは、これから先10年以上かかるでしょう。私がその姿を見ることは多分無理でしょう。それでも、嬉々としてドングリ拾いに興じる子供たちのことを想像しながら作業をしています。
先人たちが将来のことを考えて育ててくれた木々のお蔭で、今我々が峯山を楽しんでいるわけですから、誰かがやらねばならぬことです。わしがやらねばだれがやるといった心意気です。
里山とは、本来そういったものでしょう。何の手も出さずに、ただ現状を眺めているだけでは里山は維持できないのです。

210209豆まき

今年の立春は2/3でした。立春の前日に行われる節分は追儺(ついな)といわれ、豆を撒きます。
なぜ豆を使うのか諸説ありますが、一番もっともらしいのは、古来人間にとって重要な穀物である、米、豆には魔力があると信じられており、この魔力で難(鬼)を払うということだそうです。そこで考えました。峯山で大事な穀類といえばドングリです。豆と一緒にドングリを撒けば、家の難と峯山の難も退散させられる。ついでにCOVIDー19も。
豆まきを始めたのは夜9時半ころでした。何か所かでやった後、最後に玄関で豆まきします。他の部屋は、雨戸が古いのでガタ、ガタ、ドシャですが、玄関はレール付きの引き戸なので、ガラガラ、ピッシャンとうまくいきました。豆まきは、こうでないといけません。峯山の会を代表して私が豆まきをしましたので、今年の峯山の会の活動は、コロナにも罹らず順調に行われるはずです。まずは目出度い。しかし、この愛らしい行事は今や絶滅危惧種のようです。私は毎年やっているのですが、耳を澄ませても、どこからも声が聞こえません。せめて我が家だけでもと思い、恥を忍びながら大声を上げているのですが、なかなか伝搬しません。メディア情報を眺めるだけで、自身の行動には結びつけない。何やらボランティア活動に似ているようで嘆かわしい。COVIDー19では、行動変容を求められていますが、それは他の分野にも沢山あるように思えます。
いささか話しが大袈裟になりました。これは先日、山に来た子どもたちの姿のせいかもしれません。
昔から子どもはチャンバラごっこが大好きですが、近頃は鬼滅の刃の影響か激しくなっています。
棒をもって立ち木を叩いて回っています。雑木林にしようと移植した若木がめった打ちにされます。
「これは君たちのために植えたものだよ」といっても通じる相手ではありません。こんな行動変容は迷惑そのもです。そこで、ボーダーで防御しようかと思案中です。

201124峯山膳

峯山で採取できる主食になりそうなものを探してみました。結果、ナッツ類に落ち着きました。
栗があればよいのですが、栗の木の大木はありますが肝心の実が落ちていません。それでドングリを試してみました。
・スダジイ:生食できて美味しいというのでいきなり齧ってみました。とんでもない、吐き出しました。ネット情報もあてになりません。
・マテバシイ:これはうまい。10分空煎りして食べてみると、ほのかな甘みもあります。実も大きいので主食候補です。ただ、日がたつとかなり硬くなります。
シラカシ:炒っても食えない。多分何度もアク抜きが必要な様子。
コナラ:炒ると少し渋みがあるが何とか食べられる。
クヌギ:アク抜きが大変との情報があるので今回は試さなかった。
この体験から、次のものを作ってみました。
1、縄文ビスケット:コナラの実を炒った後殻をむき粉にする。これに半量の小麦粉を混ぜてビスケットにする。塩味のものも作りましたが好評でした。
2、縄文団子:マテバシイを生のまま殻を割り、粉にする。これに半量の米粉を加え団子状にして10分蒸した。好みできな粉をまぶして食べる。
これらを峯山酒の試飲会に持参し、野草調理品と一緒に食べてみました。十分弁当代わりになります。写真上は峯山酒、下左は野草料理、下右はクッキーと団子です。
結論として、食べ物を得ることがいかに大変か、縄文人の気分が味わえたことが一番の収穫でした。
お酒は別として、一緒に作れば子どもの食教育に役立ちそうです。

201017野草

写真①

201017ナンテンハギ
写真②
写真①は、10月中旬の酒席にのうせいさんが持参された峯山の食べられる野草です。
皿の上から時計周りに、ナンテンハギの甘酢漬け、ノゲシのおひたし、それとイヌビワの葉の辛し和えです。いずれもヘエーと感嘆したくなる結構な味です。下の小皿は私のシソの実の味噌炒めがみすぼらしく見えます。
写真②は、掘り出したナンテンハギとツリガネニンジンの姿です。いずれも楚々とした草姿から想像できない武骨で頑丈そうな根を持っています。これなら草刈りされてもすぐに芽を出すのも頷けます。県有地では、他所からの種子を蒔くことは禁じられていますが、自生種を移植することは緑化の一環として問題ありません。
峯山の会では、竹林を皆伐した跡地に、これらを移植したらどうかと考えています。食べて美味しい野草は、峯山に沢山自生していますので、近々のうせいさんがこれらの資料をレシピ付きでホームページにアップするそうです。ご期待下さい。
しかし、これらはお酒のあてには十分ですが、こうなると主食の類が欲しくなりますねえ。
豆や芋が有力ですが、トマトは毎年出てきますが、大豆、さつま芋などは自生していません。
そこで思いついたのがドングリです。クリも見かけますが、圧倒的に多いのはドングリです。ブナ科の巨木が多い峯山ではこの時期散策路はドングリだらけです。
縄文人の常食だったのですからこれを使わない手はありません。炒ったり、粉にして粥や団子にしたりといろいろな活用法が考えられます。
のうせいさんにひと踏ん張りしてもらって、ドングリレシピも加えてもらいましょう。そのうちに主食、副菜の揃った峯山膳をご披露できるでしょう。

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