里山エッセイ・鎌倉峯山の四季

峯山の四季折々の状況と活動内容をお知らせします。

タグ:生物多様性

200726蚊遣り


もうふた昔も前の話しですが、加賀白山に上る前日に泊まった温泉宿でのことです。
若いオーナー夫妻と、その幼児ふたりと一緒に屋外で食事をとりました。食事中に、子供の顔にとまった蚊を見つけた母親が、あろうことか虫よけスプレーを顔に吹き付けたのです。無農薬の自然農栽培をしていた私には想像できない光景でした。聞けば、いつもそうやっていると涼しい顔して答えてくれました。
以来、安心して?私も農作業時に虫よけスプレーを使うようになりました。確かに快適に作業ができます。ただ、ケチな性分の私はスプレーを吹き付けて使うのはムダが多いような気がして一計を案じました。先ず左手の掌に吹き付けます。その手で顔の左半分を撫でまわし、次にもう一度吹き付けて今度は右手の手首と指周りを撫でまわします。ついで右手の掌で同じことをやります。つまりスプレーを4回吹き付けるだけで蚊よけ対策が終了します。これで8時間は蚊の心配なしに作業に専念できます。
ただ昼飯のときに蚊がプンプン飛び回るのは不愉快なので、やぶ蚊xxxというやつを周りに吹き付けておきます。これで蚊遣り対策は完璧です。
峯山の整備を始めた4年前には蚊は殆どいませんでした。それが今では普通に飛び回っています。生物多様性がもたらす負の効果です。蚊は主に花の蜜や樹液を吸って生きているそうです。ただ、メスは産卵のための栄養源として吸血するそうです。つまり、血を吸わせてくれる生き物がいないところでは子孫を残せません。吸血対象としては人間が一番のお得意さんでしょう。そのトンマな人間が完全武装してきたのでは、蚊一族としては子孫を残せるかどうかの大問題です。これは生物多様性と作業効率の二者択一という大命題に発展することを意味します。話しがモスキート級からヘビー級に飛んでしまいました。

2018ソバの花
   (昔の畑跡に咲くソバの花)
峯山周辺は、昭和30年代のいわゆる燃料革命がおこる前は典型的な里山でした。
山にはクヌギ、コナラが植えられて燃料として利用され、平らなところは頂上付近まで畑として耕されていました。里山とは地元の人たちにとって生活に欠かせない資源であったわけです。
そのため常に人の手が入る二次的自然が形成されていました。けっして手付かずの原生林ではありません。しかし、里山の価値がなくなったと同時に人の手が入らなくなり山が荒れてきました。
里山については、山の緑に一切手をつけてはならない、あるいは自生している植物以外は一切持ち込んではいけないと主張する人が少なくありません。
そんなことをしたら山は荒れ放題に荒れます。つまり、私たちが活動をはじめる前の状態に戻り、いずれ照葉樹の生い茂る暗い森となるでしょう。いや、その前に全山竹藪化して、生物多様性と真逆な山となること必然です。
そんな意見の対立を避けるには、里山を現代社会に適した形に再定義する必要があります。
私は「里山とは住民にとって有用な山」であるとシンプルに定義しています。
子どもが安心して遊び回れるところ。高齢者も安心、安全に山歩きが出来るところ。四季おりおりの木々の花や草花をめでながら、海や山の景色を楽しみ、そして摘み草や山菜取りもできる場所。こんな里山であればコロナ騒ぎで家に閉じこもってウツになる心配もありません。
大勢の人々に喜ばれる場所であれば、そこを維持管理するボランティアにとってもやりがいのあることになります。
私たちも私たちの里山を持つことで生活を豊かにすることができます。そして私たちの役目は、それを実現することにあると思っています。県や市の意向は分かりませんが。

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