1911アキノ1
(写真①)アキノタムラソウ

最近、関係者で話題になった草花があります。それはアキノタムラソウという日本原産の多年草です。(写真①、のうせいさん提供)
わたしの愛読書の一つに足田輝一著「雑木林の博物誌」があります。氏は、武蔵野の雑木林をこよなく愛し、この一書を刊行しました。その中に新秋の七草としてアキノタムラソウを推している箇所があります。峯山も武蔵野台地の一部ともいえるので、どこかに咲いていないかと思っていましたが、今秋の台風被害で倒れた山桜を処理していた折り、それらしい花を見つけました。写真を撮って山野草に詳しい人に見せたら、多分ヤマハッカだと言われてガッカリしました。
ところが、メンバーの一人、のうせいさんが、以前からこの花に興味をもっていて鎌倉山の三島神社に咲いていたものを撮影していました。のうせいさんに現場確認をしてもらうと、葉の付き方からいってアキノタムラソウに違いないと同定してくれました。
ヤマハッカが咲いているという峯山入口にあたる八雲神社の土手に行ってみると、どちらがどちらとも言えないくらい似ている草姿でした。どちらもシソ科の多年草ですが、不思議なことにアキノタムラソウの名前の由来は分かっていないそうです。一説には、ムラサキソウが多く咲いているのでタムラサキソウ、これがなまってタムラソウ、さらに春咲くものと区別するためにアキノタムラソウとなったといいます。
草姿が乱れるので鑑賞用には向かないとされ、そのため名前もいい加減にされたのかも知れません。
「手にとらで やはり野に置け れんげ草」と同じく野で見るのにふさわしい花と云えそうです。
いずれにしろ、今まで目にしたことの無かったこのような花が咲くのは、薮を払って日当たりがよくなったせいです。
中には、ノボロキクやアザミなど余り増えてもらいたくない花も出てきますが、可憐な花や貴重な花が今後増えていきそうな気配があります。