
(上を詰めたらうまい具合に下枝が出てきた)
峯山付近には、ニワトコ、アカメガシワ同様にイヌビワが沢山自生しています。藪を切り拓いている頃は邪魔だとばかり、せっせと伐採していました。それが、ある時期から逆に保護対象となり、その上幼木を移植するようになりました。
それは、上皇陛下が退位表明されてまもなく、上皇后へのインタビュー記事に「陛下の大好きなイヌビワの木を植えて差し上げたい」とあったのがきっかけです。興味をもって調べてみると、イヌビワはかなり特異な性質を持つ木であることが分かり、伐採方針を止めました。
名前にビワとありますが、その実の味はイチジクに似ています。その実を食べてみると、思わずペッと吐き出しました。ネット上には、たいてい「食べられなくはないが旨くない」と出ています。また、タヌキが好んで食べるとも出ています。
しかし、これは過った情報であることが後で分かりました。黒く熟した実はかなり甘く、舌の上にブツブツ感が残りますが不味くはありません。試みにジャムにして皆に食べてもらったところ好評でした。詳しく調べるとイヌビワはオス・メス異株で、美味しいのはメス株の実です。オス株のものは、タヌキも吐き出しそうな代物です。私が最初に食べたのもオス株のものだったのでしょう。
イヌビワの若芽も旨いというので、先日、お浸しと天ぷらで食べましたが、味が濃くてかなりいけます。イヌビワは秋になると黄葉します。カエデなどよりも存在感のある発色で、秋の雑木林を彩ってくれます。今やイヌビワの評価は急上昇中です。最近峯山にタヌキが出ますが、タヌキに食べられ前に人間が片付けてしまいそうな勢いです。竹林を皆伐した跡地にイヌビワが何本もあり、ここにクワとイヌビワの幼木を沢山移植しています。子供たちが採取しやすいように剪定しているので数年後には果樹園として機能することでしょう。