里山エッセイ・鎌倉峯山の四季

峯山の四季折々の状況と活動内容をお知らせします。

2019年10月

191020雑木林

(写真①) 雑木林の予定地

191016イヌビワ
(写真②) イヌビワの実生木

191016カラスザンショ
(写真③) カラスザンショ

雑木林と口に出して言うとよい響きがあります。里山とくれば雑木林が対になっています。
建築用材の杉、檜ではないという意味で雑木と言われていますが、雑木の中でも薪炭用の良材であるクヌギ、コナラは堅木と呼ばれ、それ以外は雑木というそうですから、樹々の間でも差別は存在するようです。
殿入りルートを上った先にちょっと開けた場所があります。(写真①)
竹藪だった場所ですが、皆伐したところ落葉樹が残っているので、ここを雑木林風にしようと思っています。
多いのはイヌビワです。何本かの成木のほか実生の幼木が沢山あります。(写真②)そこで、イヌビワを主体にした雑木林を考えました。なぜイヌビワなのかは、理由は別の機会に譲ります。
ここを気分よく歩ける場所にしたいのです。クリ、エゴノキ、カエデなどを移植するつもりですが、自生している木としては、ミズキ、クワ、コナラなどがあります。中には困った自生樹もあります。
アオキは、どこにでもある上枯葉までも汚いのでせっせと皆伐しています。悩ましいのはカラスザンショです。
ミカン科の落葉高木で黄葉も期待できるし、葉はアゲハ蝶を育てます。実は小鳥たちが好みますので残したいところですが問題があります。
それは幹に生えている鋭い棘です。(写真③)走り回る子供たちにとって危険この上もありません。
いや、いや年寄りにとっても同じことです。足場の悪いところでは、つい掴まるところを探します。
よろっときて、うっかりカラスザンショの幹でも掴もうものならば大変なことになります。
ここは安全第一に考えて切り倒すことにしましょう。
カラスザンショをよく観察したい方には、安全なところに樹名板を立ててありますのでそちらで観察して下さい。

191010茶花
(写真① 茶の花 2019/10/10)
1909茶の木
(写真② 実生の茶の木)
1905峯山茶
(写真③ 峯山茶 2019/5)
写真①は、峯山に自生する茶の木です。花が咲いたのは初めてです。日当たりがよくなったせいでしょう。
この辺り一帯が里山として機能していた頃は、茶の栽培もしていたようです。竹藪を切り拓いていくと、あちこちに茶の木の実生樹が出てきます。竹を切った後は、何かを植えるのがルールとなっていますので、この実生樹を移植してみました。場所は、峯山広場の下にある杉林の隣りです。今まで日当たりの悪いところにいたせいか、いじけていて育ちがよくありません。しばらく手当てが必要なようです。(写真②)
八十八夜の当日に写真①の茶の木の一番茶を摘んでみました。蒸して、揉んで煎茶にしてみたのですが、香りがありません。正直言ってガッカリです。そこで、炒ってみました。つまりほうじ茶です。(写真③)
こちらは、香りも味も少し出てきて何とか飲めます。うまい茶菓子があればとの条件付きですが。
茶は、栄西禅師が唐から持ち込んで日本に普及させたと言われます。栄西が鎌倉に来た時、ときの将軍、源実朝が酒に溺れていて、その治療が必要となり、酒の代わりに茶を飲ませたといいます。
何んだかまゆつばですねえ。酒の代わりに茶を飲んで満足するものでしょうか。もっとも、当時茶は薬として用いたそうですから、実朝も苦い顔をして仕方なしに飲んでいたのでしょう。しかし、歌人として後世に名を残したのですから、それなりに効果はあったと云えます。
一体、ここに生えている茶は、いつ頃からのものでしょうか。栄西、実朝時代の生き残りとは思えませんが、そうでないとも言い切れません。何しろここは鎌倉時代の遺跡がごろごろしている処ですから。
峯山の茶を飲むとアル中が収まるとなれば、えらいことになります。特効薬として世に出る可能性があります。せいぜい気張って茶の木の手入れに精を出してみましょう。


 

1909種まきじいさん
(写真① 花咲爺さん)
190925鎮圧
(写真② せっせと鎮圧)

190409菜の花汐見台
(写真③ 2019/4 汐見台)
今年も9月下旬に菜の花のタネ蒔きをしました。勿論、まくタネは峯山産の自家採取のものです。
まく場所は、真竹の密生地を皆伐し、海が見えるように整備したところです。何もしなければ竹の子が出てきて元の竹林に戻ります。
それを防ぐには何通りかの方法があります。基本は、出てくる竹の子や竹をひたすら取り除いて根絶やしにすることです。これは手間も大変ですし、その間ぼんやり眺めているのも空しいことです。
開けた平坦地にせっせと植樹し雑木林にするのも一案ですが、折角海が見えるようになったこの景観が維持できなくなります。この手法は別の場所で試みるつもりです。
この地は、地元の人たちが畑として野菜栽培を長年続けてきたところです。本来あった形に戻すには耕作地にして、周囲を含めて里山として活用するのが望ましいところですが、県有地での耕作は、条例で禁止されています。
そこで、考え付いたのがソバや菜の花を咲かせることです。これならば、あちこちにこぼれタネがあるので、日当たりがよくなったことで自生しています。これに少し手を加えて花を咲かせてみました。景観がよくなったことに加え、竹の子の発生を抑制する効果が大きいことに驚きました。
見事に竹の再生を抑止しています。タネ蒔きは、筋蒔きするかバラ蒔きします。(写真①)
そのあと、足踏みをしながらよくタネを鎮圧します。これが大事なところです。(写真②)
写真③は昨年の開花状況ですが、こうなるかどうかは天候次第の運任せです。
蕾のうちに摘花すると分枝が進み花が増えます。問題は摘花した蕾をどうするかです。食べると美味しいですが、これでは収穫したことになり、条例違反になりそうです。しかし、花を増やす行為の一環として、まぁこの際大目に見てもらうことにして、せっせと蕾を摘んでもらいたいものです。

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